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BAYFM 番組コラボ 第4弾 伊藤政則×伊津野 亮  「DJとパーソナリティーの違い」を知ってるか?

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BAYFMが開局した1989年から続く、ハードロック/ヘヴィメタル専門プログラム「POWER ROCK TODAY」の
DJ・伊藤政則。「The BAY☆LINE」など、さまざまなワイド番組を担当し、現在は「I-Cocoon」の
DJを務める伊津野 亮。DJ歴40年を超える大ベテランの2人が、最近のラジオについて思うことを語り合った。

き っ か け は 「 デ モ テ ー プ 」 か ら
            

ー2人がDJになったきっかけは?

伊藤 中学生の頃からハガキ職人を自称するくらいラジオが好きで、将来はDJになりたいと思っていたんだ。大学時代、新宿のロック喫茶でアルバイトをしていたら、ニッポン放送の「オールナイトニッポン」でADを募集していることを聞いて、働くことになったの。ラジオ局って自由なイメージがあったんだけど、ニッポン放送はみんなスーツでカッチリしていて。そんなところに、本場のロックを体感するために行ったロンドンから帰国直後で、ロンドンブーツを履いた僕が入ると目立つのよ。チーフと話しているうちに気に入られて「お前、おもしろいからデモ作ってみろよ」と言われたので、スタジオが空いているタイミングに20分くらいのテープを作ったら好評で。こうして、1975年の秋からオールナイトニッポンの2部でデビューしたんだよ。

伊津野 僕は東海大学海洋学部の出身で、在学中はキャンパスのある静岡県にいました。ディスコが好きで、DJに欠員が出るといの一番に手を挙げるような学生でした。ただ、就活では、片っ端から大手ゼネコンを受けたけど全滅。途方に暮れていたとき、ディスコで「お前、いい声してるね」って言われたことを思い出して、政則さん同様、20分くらいのデモテープを作って、全国のラジオ局に送ったんです。

伊藤 凄いパワーだね。

伊津野 そうしたら、FM徳島から返事が来て、徳島のバンドを紹介する1時間の生放送を1年間担当することに。これが僕のDJデビューなんですが、番組が終了したタイミングで上京して、DJとして本格的にやっていくため、アナウンス学園に入学しました。同時に、東京でDJになるきっかけをつかみたくて、アナウンス学園の先生に相談したところ「それなら糸居五郎さんのところに行きなさい。急な訪問でも絶対に応じてくれるから」と言われたので、その言葉を信じて、広尾にある糸居先生の家にアポなしで行ったんです。

伊藤 今だったら考えられないよね。犯罪だよ(笑)。

伊津野 あり得ないですよね。そんな糸居先生にカバン持ちをやらせてくださいとアピールしたところ「これからは小林克也さんの時代だから、彼のところに行きなさい」と言われ、次に克也さんのところに同様のお願いをしに行ったら、奥さんに「うちの小林はカバンを持たないんですよ」と言われました(笑)。

伊藤 いやらしいけど、最高の断り方だね(笑)。克也さんは80歳を過ぎた今もなお現役で、BAYFMでも番組(7時からドットコム)をやっている。ワンアンドオンリーの、最強のDJのひとりだと思うよ。

選 曲 は “ 閃 き ” が 重 要
            

ー2024年も「MAXIMUM POWER ROCK TODAY」のOAが決定しました。(次頁に詳報)

伊藤 特番はBAYFM開局2~3年目からやっていて、通常回よりもリスナーとつながる番組にしたいという思いがあるんだ。普段の放送は25時スタートだから、どうしても電話をつなぎにくくて。

伊津野 政則さんの特番は、選曲、トークを含む全てが自然に聴こえますが、細部までこだわり抜いていて、ミリ単位で計算されていると思います。特番では毎年、最後の曲が流れた後、政則さんが新成人の方に向けたメッセージを発するんですが、これが本当に憎くて(笑)。還暦を迎えた僕にも刺さるんですよ。

伊藤 そうなの(笑)。特番の選曲については、日没のタイミングでかける曲とラスト1曲についてはビシッと決めているけど、それ以外はまだ決めていないんだ。その日の天気や気分によってかけたい曲は変わるから、直前まで悩むし、前日になって差し換えてしまうこともあるよ。

伊津野 僕の番組では「ダンス」「跳ねる」というキーワードで、金曜日の夜にアッパーな感じの音楽をかけています。僕は19時台の選曲を中心に行っているんですが、急に雨が降ってきたり、跳ねてはいられないニュースが飛び込んできたときに、何を1曲目に持ってくるかはOA直前まで悩みます。

伊藤 選曲は閃きが重要。結局、かけたいと思ったときが、その曲のかけどきなんだろうね。

伊津野 政則さんの特番作りのアプローチとは異なるんですが、あるとき、リスナーがラスト1曲をリクエストしてきたんです。最初は「おいおい」と感じたんですが、番組を聴き続けてくれている方が真剣に考えてくれたことに敬意を込めて、今ではリスナーの提案に乗っかっています。そこから、僕やスタッフが学ぶことも多いです。

伊藤 僕の番組も通常回のラスト1曲は、8割がリスナーのリクエスト、2割が僕の選曲だよ。最後の1曲はリスナーも適当にセレクトできないと思うし、採用されたリスナーはきっと嬉しいよね。

「 D J と パ ー ソ ナ リ テ ィ ー の 違 い 」 と は ?

伊藤 DJにもいろいろなタイプの人がいるけど、僕は基本的にフリートーク以外ダメ。だからカッチリとした台本がある番組は、受けないようにしているんだ。伊津野さんは僕とは逆で、きちんと喋れそうな感じがする。

伊津野 僕は放送時間から逆算して番組を進行させたり、きっちり時間内に収めるということを、アナウンス学園で学んだおかげで、それが自分の武器になっていると思います。フリートークは難しいけど、DJにとっては本当に重要で、キャリアを重ねようやく「できる」と言えるようになりました。

伊藤 僕は自分の好きなこと以外は喋らないようにしているの。だから、いつも同じことを喋っている可能性があるんだ。けど、それは落語と同じで、最高の誉め言葉だと思っている。僕も経験があるんだけど、自分が知らないことを無理に喋ろうとすると、墓穴を掘ってしまうんだよね。

伊津野 これぞDJ、ですね。

伊藤 以前、僕の番組に音楽評論家の福田一郎さんを呼んだとき、「自分が選んだ曲を、自分の言葉で語ることができる。これがDJだ。自分が知らない曲を番組でかける人がいるけど、あれはDJではない。パーソナリティーっていうんだ」と言ったんだ。完全に同意だよ。

伊津野 これができないと、DJとは言えないですね。これはパーソナリティーにありがちなんですが、私生活をちょろっと喋ってから曲に行きましょうでは、その曲がかわいそう。なぜ曲をブリッジに使うのか、その時間にその曲を流す理由を問いたい。ところで、僕はこれからのラジオにはパーソナリティーも必要だと思うけど、DJにもっと増えてもらいたいです。

伊藤 僕もそう思うよ。

伊津野 僕はラジオが好きで、ラジオに魂を込めてきました。こういう人は、昔に比べると減っているかもしれないけど、同じ思いでDJを目指している人はまだまだいる。そういう人にもっとスポットライトを当ててほしいし、若手DJが活躍できる番組がもっと増えてほしいです。

伊藤 とある老舗のラジオ局が、お笑い芸人のパーソナリティーを中心に番組を編成したんだ。そうしないと、もうラジオを聴いてもらえないという思いがあったのかもしれない。けど「ちょっと待ってくれよ、まだギブアップしないでくれよ!」と言いたい。DJになりたい人は、まだまだいる。発掘して、若手のDJを育成していかないと、ラジオのカルチャーがいよいよ廃れてしまうよ。

伊津野 僕や政則さんのマウントをとるぐらいの若手DJを育てていきたいし、そういう人に会いたいですね。僕の嫁(トムセン陽子)はバリバリのDJ路線を歩んでいて、立派な大学を出ているのにどうしてDJをやっているんだと思うこともあるんだけど、彼女は僕以上にガチ。だから「9の音粋」では自分で全ての選曲を行っているし、DJとしては若いけれど素晴らしいと思います。こういう人は、発掘しきれていないだけで、まだまだたくさんいるんじゃないかな。



Text:Takahiro Shibayama

Photo:Kei Katagiri(Lingua Franca)


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