自然に教わることばかり! 千葉の秘境で学び遊び食べる
県内の見どころスポットを紹介するこのコーナー、今回は君津・亀山エリアにやって来ました!
案内するのはベイエフエムDJの“島ちゃん”こと島村幸男さんです。
「亀山湖は千葉に引っ越して初めて家族で遊びに行った場所。思い出がいっぱいです!」
散歩の最初はランチから。ライダーも御用達の、地元食材だけを使った食堂で極上のさんが焼き定食をいただきました。
続いては衣食住芸をテーマにした学びのスポットで、ジビエを使った料理教室を見学。
その後は県指定の無形文化財「長板中形」の藍染工房で、島ちゃんも本格的な藍形染に挑戦!
最後のディナーは肉や魚介を囲炉裏で堪能し、食後は温泉で疲れも取れました~
旬菜料理 山もも
今日のお散歩はまずランチから。入口に立つ樹齢200年のヤマモモの木が聳え立つ、『旬菜料理 山もも』に伺いました。入り組んだ形の笹川湖畔、キャンプ場も備えた敷地約3000坪の一角にあります。
お出迎えくださったのは、店主の加瀬さん。息子の沢貴さんと交替で切り盛りしています。
「メニューは定食のみです。とんかつ定食の豚は香取郡産SPFポーク、卵かけご飯定食の卵は袖ケ浦市産『ぷりんセス・エッグ』など、素材にこだわっています」
島ちゃんが注文したのは、「黒鯛のさんが焼き定食」(2000円)。東京湾で獲れた黒鯛のさんが焼きが、器いっぱいに盛り付けられています!
そしてこちらの定食には、彩り豊かな8種類もの小鉢が付いてきます。
「真竹、野蕗、小松菜、山椒の豆腐、大豆(小糸在来)など、季節ごとに採れた素材を使っています。たくさん食べてくださいね」
「普通のさんが焼きは鯵なんだろうけど、黒鯛は初めて頂きました。小鉢もこれだけの種類を揃えるのは手間暇大変なんじゃない!? シジミ汁も沁みる~」
なかなかのボリュームでしたが、あっという間に平らげた島ちゃん。食後に加瀬さんと話していると、大のバイク好きなんだそう。
「今乗っているのは、メグロというバイク。飛ばすというより、ゆっくり乗り回すのが楽しいんですよ」と加瀬さん。帰り際にピカピカの愛車を見せてもらい、島ちゃんも羨望の眼差しです。
加瀬さんのバイク好きが興じて、店舗では7月中旬よりツーリングで訪れるライダーたちのための食事スペース「ライダー郷(きょう)」(土日祝10:00~16:00営業。平日は電話要予約)を開設しました。
「お料理は地産地消や季節のものにこだわって取り入れる、バイクも同じく楽しんでいる。僕より全然先輩なのに、ものすごいパワーを感じるよね」
心身共にエネルギーをもらった島ちゃん、散歩の最初からすごい方に出会いましたね!
nanajigen
食後の島ちゃんが訪れたのは、新形態の学び舎『nanajigen』です。外観は大きな古民家ですが、なにやら奥から美味しそうな匂いが漂ってきます。お腹いっぱいのはずの島ちゃんだけど、どんな料理を作っているか気になります!
「こちらは衣食住芸をテーマに、集まった人が互いに学び合う探求のスペースになっています」と話すのは、管理人で運営者である行貝 チヱさん。
行貝さんはフォトグラファーでもあり、舞台女優やアーティスト活動などを経て、縁あって千葉に。こちらを開設したのが1年前とのこと。
「一見、普通のカルチャースクールのようなものに思われるかもしれないけど、一方的に行貝さんが何かを教えるというわけではなく、みんなが様々なテーマを持ち寄って、彼女も含めて共に学び合う場になってるんだね。なかなかこうしたスタイルはないかも」と島ちゃんも感心しきり。
そんな何でも学べるフリースペースである『nanajigen』ですが、今回は行貝さん主宰の「ちえの学校」というものを見学しました。この日は近隣の方をはじめ遠方からも人が集まり、ジビエを使ったパエリア作りに皆で取り組み、賑やかな様子です。
「ちえの学校では、養蜂、金継ぎ、料理の常設クラスのほかにファスティングや性学などの特別クラスなどがあります」と行貝さん。チケット制(10枚20000円、7枚15000円)になっており、参加するごとに専用シートにスタンプを押していきます。
「私が狩猟の免許を持っていることもあり、ジビエ料理は日常的に作っています。8月6日にはイノシシやシカなどの解体イベントを予定していて、ジビエの料理を楽しんでいただき、お肉の持ち帰りもできますよ」
イベントの参加は10000円とのことです。食べるだけでなく、命を頂く作業を自分で行えるのも、貴重な体験ですね。
藍形染め まつばら
さて、続いて島ちゃんが訪れたのは、本格的な「藍形染め」が体験できちゃう『藍形染め まつばら』です!
レクチャーくださるのは松原伸生さん。長板中形の文化伝承に尽力され、2021年の春の褒章で紫綬褒章を受章した、染織家です。
『長板中形』は江戸時代から続く型染め技法の一つで、伊勢型紙を使い糊を生地の表と裏に置き防染することで、藍と白の模様をより際立たせることができます。
御祖父松原定吉さんは、昭和30年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。ご自身も7月に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
体験工房では片面の糊置きとなりますが、藍に浸したり、水落としなど、ほぼ全ての工程を自分で行うことができるとのこと(3300円/人)。工房内を見学させていただき作業工程の説明を受け、島ちゃんもその一部の体験をさせてもらいました!
「不思議だね。藍龜から引き上げてすぐは淡いグリーンなのに、空気に触れて酸化することで、どんどんはっきりとした藍色に変わっていく」
松原さんに手伝っていただきながら、藍染めと生地の洗い流し作業を行い、アイロンで形を整えると、流石に見事な出来栄えに。
体験で仕上げたものは、お土産としてその日に持ち帰ることができます。松原さんの手ほどきにより自身で染めた作品を手にして、島ちゃん「いただいてしまいました~」とうれしそう。
「実際の体験では、専用の道具を使って生地に自分の言葉を入れることもできます」と松原さん。世界に1つだけのものが作れる藍染め体験をしてみてはいかがでしょうか。
いろりの宿 七里川温泉
今日の散歩は学びや体験など、収穫の多い1日でした。最後は『いろりの宿 七里川温泉』で、温泉と夕食をいただきます。こちらはその名の通り、旅館を入ってすぐの所にも囲炉裏があり、奥の食事処でも囲炉裏テーブルで食事ができます。
「ここは以前、イベント後の宴会で利用させてもらったんたけど、気の合う仲間と盛り上がって楽しかったな~」
ご案内くださったのは、従業員の外川久果子さん。「島ちゃんはもう常連さんですね。当館の宿泊はリピーターの方も多く、また結婚記念日や誕生日など、お祝いで利用される方も増えているんですよ」
今回はディナーコース(5100円)の料理をご用意いただききました。自分で肉や魚介、野菜の炭火焼きを楽しむのはもちろん、他にも小鉢や刺身、お新香、湯葉など豪華ラインアップ。焼きおにぎり(またはライス)とみそ汁(3種類からチョイス)もついています!
「なんといっても囲炉裏で焼くのが雰囲気あっていいね。慣れない人でも、宿の人がサポートしてくれるから安心だね。おにぎりを両面こんがり焼いたところに味噌をつけて食べるんだけど、これ、いくらでもいけちゃう(笑)」
このディナーコースには入浴料も含まれています。さーてお腹が満たされた島ちゃん、食後は今日の疲れを癒しに温泉へ! こちらはすべて源泉かけ流し、千葉県では珍しい、おだやかな香りの硫黄泉です。
「大浴場は2カ所、露天風呂は3カ所あって、時間で男女入れ替わり。露天風呂からは、春は桜、秋は紅葉など、四季折々の景色をお楽しみいただけます」と外川さん。
ちなみに宿泊は和室が5部屋あり、こんな贅沢な空間ながら、素泊まり7850円~とコスパも最高です。温泉に浸かっているうちに段々と日も暮れてきましたが、島ちゃん今日はお泊りしちゃいますか~!?
取材を終えて・・・
亀山湖の周辺は僕が住む袖ケ浦にも近く、何度も訪れている島村家の名観光スポットです(笑)。友人も多く住んでいるし、思い出がたくさんある場所ですね。ただ今日訪れた『nanajigen』のような移住組が頑張っている一方で、久留里線は危機的状況にあって、町にもう一つ元気が足りない気がします。「亀山ダム」とその周辺の豊かな自然をはじめ、「濃溝の滝」のような観光スポットもある。そうした資源を生かし、更に地域の力が育っていけば、もっとたくさんの人たちに魅力が伝わるはず!
お散歩情報
- 旬菜料理 山もも
住所:君津市笹1743-4
TEL:070-3317-2255(山もも)
090-8514-8615(ライダー郷)
営業時間:11:00~15:00
定休日:不定休 - nanajigen
住所:君津市君津市笹933-1
連絡:nanajigenのインスタメッセージにて
定休日:不定休 - 藍形染めまつばら工房
住所:君津市滝原152-1
TEL:0439-39-3317
営業時間:9:00~17:00 - いろりの宿 七里川温泉
住所:君津市黄和田畑921-1
TEL:︎0439-39-3211
営業時間:日帰り入浴時間/8:00~22:00
定休日:毎月第1、3水曜日
取材・文/喜多 雅明 撮影/海宝 智毅
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