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「今まででいちばんヤバいShigekixをお見せしたい」 MC KENSAKUとShigekixがパリ五輪・ブレイキンを語る

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ラジオや音楽との親和性の高さから、サーフィンをはじめとするアーバンスポーツの普及に力を注ぐBAYFMは、2019年からブレイキン日本代表チームのオフィシャルパートナーとして、選手たちをサポートしている。20年には伝説のダンスチーム「BRONX」のメンバーであり、B-BOY(※)として日本における初期のシーンを支えたMC KENSAKUがDJを務める、「breakin’ style」(毎週水曜日24:00~)の放送を開始した。

パリ五輪まで残り3か月と迫る中、番組にB-BOY「Shigekix」(半井重幸)が4月の1か月間、ゲストとして登場。彼が練習拠点としている神奈川県川崎市の「カワサキ文化会館」を尋ね、ラジオとYouTubeの収録を並行して行った。今回はその舞台裏と、番組のハイライトを紹介する。

ラジオではShigekixセレクトの楽曲を聴くことができ、YouTube(4月3日(水)24:30公開)ではラジオ未公開のトークを全て収録している。

ともに楽しんでほしい。

※写真1枚目:MC KENSAKU(写真左)とShigekix(撮影:水上俊介)
※B-BOY:ブレイキンを躍る男性のダンサーのこと。ブレイカーともいう。女性はB-GIRL

Shigekixの誕生日をサプライズでお祝い

2024年3月11日早朝。MC KENSAKUと制作スタッフはカワサキ文化会館に集結し、“VIP”が登場するための準備を行っていた。この日はShigekix、22歳の誕生日。彼がスタジオに入った瞬間にサプライズでお祝いをする計画を遂行するために、通常の収録よりも早い時間から準備を進めていた。

Shigekixがスタジオの扉を開けた瞬間に、MC KENSAKUによるコールとともに、花束とオリジナルのメッセージ「You are the only one. Grab your DREAMS!!」が入ったタオルを手渡した。B-BOYとして世界中の国々を駆け回り、現在は日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部本部長として選手たちをサポートしている「KATSU ONE」(石川勝之)が、パリ五輪の新種目として正式採用された「ブレイキン」で、最も金メダルに近い選手と称されるShigekixのために考えた言葉だ。  

流ちょうな英語で読み上げるShigekixは、満面の笑み。その様子を、スチールカメラにYouTube用のビデオカメラ、複数のスマートフォンがとらえる。通常のラジオ番組の収録では考えられない台数のカメラに、Shigekixは「(カメラ)多いですね」と笑っていた。

Shigekixに送った、オリジナルメッセージ入りのタオル。彼が夢をつかみ取る瞬間は、そう遠くはないはずだ(撮影:水上俊介)

Shigekixによる「ブレイキン観戦講座」

 収録はMC KENSAKUが冗談を言いながら、終始和やかに進行していった。まずは「まだ間に合う! ブレイキン観戦講座」から。競技としてのブレイキンについて、その魅力や観戦のポイントを、Shigekixが語るというものだ。ここではShigekixがブレイキンをはじめた理由についても語られたのだが、以下の言葉に、彼が世界大会で通算47回もの優勝歴を誇りながら、謙虚に、愚直に、ブレイキンと向き合おうとする理由が凝縮されている。

 「(ブレイキンは)ウィンドミルやフリーズなど、新たな動きをマスターできたときの達成感がとにかく嬉しくて、その繰り返しで今に至る。ちょっとずつ進化していく自分に喜びと満足感が得られ、もっとできるようになりたいという向上心が沸いてくる」 

「理想は膨らむ一方で、現段階の自分に全然満足していない。こう思うことが、大事だと思っている」

ブレイキンの世界選手権「Chelles Battle Pro」のU12部門で優勝した、11歳のShigekix

ブレイキンはグラフィティ(Graffity)、DJ、MCからなる「Hip-Hop」の4要素のひとつ。1970年代初頭のニューヨーク・サウスブロンクス地区のストリートから生まれたカルチャーだ。それ故、2020年にブレイキンがパリ五輪の新種目として正式採用されることが決定した際には、歓迎する声と同時に「ブレイキンはカルチャーであって競技ではない」という声が上がったことも事実だ。

 「賛否の声が沸くのは自然なことだと思う。ブレイキンのカルチャーとしての側面は僕自身も大事にしてきたことだし、これまで大事にしてきたものが、(パリ五輪を機に)違うものに変えられてしまうのではないかという不安な気持ちがあったのかもしれない」

 「パリ五輪に至るここ数年間のブレイキンの盛り上がりから、今は否定的な言葉を聞くことはほとんどなくなった。(ブレイキンの競技化に)懐疑的だった人にも、パリ五輪は絶対にあった方がいいと思ってもらえるはずだし、ブレイキンがさらに広がるきっかけになると思う」

また、このパートでは、22歳の誕生日を迎えたShigekixにLINEやInstagram経由で送られた、数々のメッセージにも話が及んだ。DA PUMPのKENZOなど、親交のあるアーティストからたくさんの祝福のメッセージが届く中で、毎年最速でメッセージを送り続ける「ダンス界の林家ペー/パー子」とは!? その人物の名は、ラジオとYouTubeで確認してほしい。

Shigekix成長の軌跡「Road To Paris」

ここでは「Road To Paris」と題して、Shigekixがいかにして日本、そして世界を代表するB-BOYへと成長していったのか。あまたの受賞歴を振り返りながら、ターニングポイントとなった大会や、2023年のアジア大会で金メダルを獲得し、パリ五輪出場の切符を獲得したときの率直な思いを語った。 

Shigekixは16歳のとき、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたユース五輪で銅メダルを獲得。20年には、ブレイキンにおける世界最高峰の戦いの舞台と称される「Red Bull BC One world final」で、史上最年少優勝(18歳)を果たしている。いつ頃から、世界を意識するようになったのだろうか。

「最初は一緒に練習をしている同世代の仲間の中でいちばんになりたい、頭ひとつ抜けた存在になりたいという気持ちでやっていた。それが(出身地の)大阪、関西、西日本、そして全日本と徐々にステップアップしていって、そこで優勝して切符をつかむことで、世界を意識するようになった」

世界を転戦していく上で、語学力が必須であることは言わずもがな。Shigekixは流ちょうな英語を駆使して、通訳を介さずにインタビューに応じている。

「留学を経験した母の教えで、ブレイキンと出合う前の幼稚園の頃から中学3年生まで、英会話を習っていた。ここで得たボキャブラリーと実践的な英会話の能力が、うまく海外に行く機会とマッチ。海外でもストレスなくコミュニケーションをとれるようになった」

Shigekix(撮影:水上俊介)

MC KENSAKUからブレイキンの日本トップランカーとしての心構えを問われると、「とにかく挑戦し続けること。大会で優勝したことは実績としては残るが、それ以上でもそれ以下でもない。大会の次の日、何ならその日の夜には挑戦者として次に挑みたい。初心を忘れないことを大事にしている」という。

そして、パリ五輪では「今まで見てきた中でいちばんヤバいShigekixをお見せしたい。進化して、こんなに勢いがあるShigekixは見たことがないと、驚いてもらえるような姿でステージに立ちたい。そうしたい自分にワクワクしている」と力強く語る。

「パリ五輪は多くの人にブレイキンを観てもらえるチャンス。ダンス、ブレイキン、そしてストリートカルチャーといった、僕が属しているシーンの魅力を、いろんな人に伝えたい」

最後にShigekixがパリ五輪後のビジョンについて語る。若干22歳にしてすでに業界をけん引していく決意を感じさせる、同席した制作スタッフが思わず身震いしたコメントは必聴(必見)だ。ぜひラジオ、YouTubeでチェックしてほしい。

これは余談だが、今回の収録では花粉症のShigekixのために、「いったんコマーシャルです」ばりに、鼻をかむ時間が設けられた。制作スタッフからポケットティッシュと箱ティッシュという、追加の“誕生日プレゼント”が贈られると、「今日が(生放送ではなく)収録で本当によかった。花粉症の方がラジオDJだと大変ですね」とはにかみ、制作スタッフを笑わせた。

初出! Shigekix思い出プレイリスト

ここではブレイキンを中心としたさまざまな質問にShigekixが答えながらトークを進めていき、最後にShigekixに思い出に残っている曲を3つ挙げてもらい、その理由を聞いた。なかでも、Shigekixがはじめて語った、プライベートでよく聴いた思い出のプレイリストは意外性に富んでいて、ファンならずとも楽しめること請け合いだ。4月17日(水)OA予定の番組を聴き、曲とともに堪能してほしい。

 示唆に富んだ回答、興味深い回答を一部紹介していこう。

Q.世界のトップに立つ上で必要なことは?
A.ビジョンを持つこと。自分の生まれ育った街で活躍することを目標と掲げている人が突然、世界規模で輝くといったケースはあまり見たことがない。まずは高い意識をもって、地元から全国、そして世界へと、必要なステップを踏んでいくことが必要になる。

Shigekix(撮影:水上俊介)

Q.Shigekixにとってパリ五輪とは?
A.自分を証明する場所。トーナメントに参加するプレイヤーとしては、実力を証明する場所であるが、僕はいちダンサーとしてやってきたこと、大事にしていること、起こしたいムーブメントの全てをここで証明したい。(パリ五輪は)小手先でどうこうできるステージではないので、ありのままというか、等身大の自分で行かないと太刀打ちできないと思う。

Q.ブレイキンにおけるファッションへのこだわりは?
A.動きやすさはもちろん重視しているが、自分の好きなサイズ感のものを着るようにしている。ブレイキンにはHip-Hopカルチャーに寄ったイベント、ダンススポーツとしての大会など、さまざまあるが、ケースによって変えるというより、自分が今、いちばん気持ちよく躍ることができるシルエットがいいと思う。僕は練習中に撮った動画を見て、このサイズ感がいいと思ったものを着るようにしている。

最後に、ファッションへのこだわりに関連したことで、B-BOY(B-GIRL)に最も寄せられる「帽子を被ることはファッションへのこだわりの一環なのか?」という質問に対して、MC KENSAKUが回答を行う。これはブレイキンを代表する動きに対応するためなのだが、ブレイキンをまだ見たことがない人はきっと膝を打つだろう。その理由はラジオ、もしくはYouTubeをチェックしてほしい。

Shigekix×MC KENSAKU対談の模様をBAYFM公式YouTubeチャンネルで配信中!



Text:Takahiro Shibayama
Photo:Shunsuke Mizukami



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